診療圏調査の落し穴

ＰＣよる診療圏調査の落し穴についての話です。

現在、いくつかの診療圏ソフトが出回っております。

このソフトは推定される診療圏を設定して、その診療圏内

の夜間人口を抽出し、厚労省が定期的に実施している

年齢層別・疾病別の外来受療者を診療科目別に置き換えて、

当該診療圏内の総外来患者数を推計する仕組みです。

 

そして、開院計画診療所の予測患者数の算出は標榜診療

科目が同一診療圏内の診療所の標榜科目と重なる医療機関

をすべて拾い出して、自院＋競合科目の施設数で単純に除

した数値が予測患者数として算出されるものです。

 

ここで、問題点として

1.疾病別疾患を診療科目に転換する際の誤差がでること。

2.診療圏の設定が河川や道路、鉄道敷などの地理的条件を

無視して、一般的に単純円で設定していること。

3.競合科目の個別の把握がない（専門医別、医師の年齢、

運営力の強弱など）パワー率が反映せずに単純に軒数

で割り算をしていること。

 

などの問題があり、実際の予測と乖離している場合が

多いと思われます。

 

私は、診療圏の設定は開院計画地の生活圏域という観点で

周辺住民の人の流れ方の観察をし、また、現地での通行人

やお店の方に地元住民の現状のヒアリングなどを通じて、

診療圏の設定の参考にしています。

また、近隣にスーパーなどの商業施設がある場合、店長と

面談して、折り込みチラシの配布エリア、来店客のエリア

をお聞きして、参考にさせて頂いております。

 

競合施設については、薬品卸会社や臨床検査会社に問合せ

して、院長の性格、外来患者数、後継者の有無などもお聞き

します。場合によっては、患者としてモニター訪問する場合

もあります。

 

また、必ずすることは、開院予定地の前で朝の現地の顔、

また、夕方の現地の顔つまり、目にはいる映像として、

年齢層、通行人の量、服装などの状況の観察は大事な

ルーティンとして行っております。

 

まとめますと、診療圏調査書から得るものは、人口規模と

競合施設の実情は有益なデータですが、自院の予想患者数

は低いのは当然なので、データに出ていない競合施設の個

別の実情を把握するのがポイントです。

 

あとは、開業予定地の視認性と場所の分かり易さも大きな

要素かと思います。

 

そして、もう一つ、立地は最初の立上り時の外来患者の規模

に影響いたしますが、どのように医院運営をしていくかも

大きな要因です。場所は動かせませんが、やり方は自由に

帰ることができますので。

 

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